[EVENT]〈古書ノ香〉第一帖 白樺

鑑賞者の振る舞いは、ときに整然と並んだ作品から、モノである「異常さ」を露呈させることがあります。アーティストの布谷麻衣は「作品がそこにある」という確たることが紙一重の揺らぎであることを目論み、鑑賞の行為から芸術作品の条件を問い直そうと活動しています。

『古書ノ香』は、「本とは何か」を主題にして、江戸初期からの源氏香(*1)に倣い、香りを聞きわける遊びの組香(*2)に着想を得た参加型パフォーマンスです。古書は紙やインク、糊だけではなく、人の手に渡り、時間という変化によって固有の香りを徐々に身に纏っていきます。香元(*3)(ホスト)が「本」の香りを客人(ゲスト)に振る舞うことからパフォーマンスを展開していきます。

「本」という物語や言葉を独りで楽しむモノから、ホストとゲストが記憶を交える場としてのモノへ、『古書ノ香』では「本」の存在感を「香り」を通して掴んでいく試みです。

なお、本企画は2022年より布谷麻衣、コ本や honkbooksとの共同による毎月シリーズの企画として、月ごとにテーマを立てながら開催いたします。1月30日(日)の「第一帖 白樺」では、大正時代中期から末期にかけての日本文学を取り上げます。

*1 源氏物語第五十四帖のうち、第一帖「桐壺」と第五十四帖「夢浮橋」をのぞく、各帖の名を使用した図を用いて香りの異同を当てる遊び。
*2 組香とは、平安時代の文学や故実を主題に、香木を焚き、香を識別する遊び。この遊びでは、印刷方法や出版年数、収まっていた書架の違いにより纏った香りを聞き分け、同香を当てる。
*3 組香の席を取り持つ主催者。通常の香会では香を焚くが、本席では頁を捲ることで客人に香りを送る。

香元(ホスト) 布谷麻衣

日時 2022年1月30日(日) 15:00-, 17:30-
会場 theca(コ本や honkbooks内)
住所 〒171-0014 東京都豊島区池袋2-24-2メゾン旭2階 コ本や honkbooks
定員 各回8名
参加費 1,000円(税込)
要予約 https://koshonoko-01.peatix.com
お問合せ mail: honkbooks@gmail.com, tel: 03-6907-2239(担当:青柳)

企画 布谷麻衣、コ本や honkbooks


布谷麻衣 Nunoya Mai
1996年生まれ。東京藝術大学大学美術学部先端芸術表現科卒業 、現在同大学大学院映像研究科メディア映像専攻在籍。鑑賞行為が作用することで、一見整って見えるモノが「異常」さを露呈する。行為によって周縁の見え方ごと「崩壊」させてしまうような、鑑賞行為が作品自体の変容を導く制作を行っている。
私家版のzine『私は魚が好きではない』(2021-継続中)、北川光恵・佐藤由香との共同制作としてネットプリントを使って定期刊行するzine『僉』(2020-継続中)を発行。近年の活動に、臼井達也との二人展「ハードハードルハードリング」(アトリエ滝口, 2019)など