岩波文庫『詩集 いのちの芽』刊行記念イベント
「記憶を記録する/小さき表現者の声を聞く」

[開催趣旨]

この度、岩波文庫『詩集 いのちの芽』の刊行を記念して、トークイベント「記憶を記録する/小さき表現者の声を聞く」を開催いたします。

記憶は、どのように場所にとどまり、記録は、どのように書きとめられていくでしょうか。大江満雄氏によって編纂されたハンセン病療養所の詩人たちの『詩集 いのちの芽』は、オリジナル版が1953年に三一書房から刊行され、昨年、国立ハンセン病資料館の企画展にあわせて非売品として再刊されたものの、それまで70年間、一度も再刊されることはなく「幻の詩集」となっていました。

73人からなる合同詩集には、若者や子ども、女性、失明者など、単に「病者」とひとくくりにできないような、さまざまな人々の生きた証が表現され、記録されています。そこには、ときに動植物の目線となるちいさきものの声をみつめるまなざしを感じることもできます。

国内外のハンセン病療養所を訪れその場所や声に触れながら、国立ハンセン病資料館での企画展「ハンセン病文学の新生面 『いのちの芽』の詩人たち」を企画担当した木村哲也氏、撮影することを「中と外を分ける行為」と呼び、ドキュメンタリーの手法を探求する飯岡幸子氏、観察や記録を通して、場やそこに生きるものをどう捉えて物語をうみだせるか、映像や詩文を用いて制作をつづける青柳菜摘氏の3名が集い、語り合います。


[開催概要]

登壇者(敬称略):木村哲也(国立ハンセン病資料館 学芸員)、飯岡幸子(映像作家、撮影監督)、青柳菜摘(アーティスト、詩人)

WEBhttp://honkbooks.com/inochinome-event
日時:2024年12月20日(土) 19:00-21:00(18:45開場)
会場:theca(〒162-0801 東京都新宿区山吹町294小久保ビル2F コ本や honkbooks)
料金:1,500円
定員:20名
予約:Peatixチケット作成中
主催:コ本や honkbooks


[プロフィール] 

木村哲也/Kimura Tetsuya

国立ハンセン病資料館学芸員。専門は歴史学(日本近現代史)、民俗学。
2023年国立ハンセン病資料館企画展「ハンセン病文学の新生面―『いのちの芽』の詩人たち』担当。大江満雄編『詩集 いのちの芽』岩波文庫の解説を執筆。
著書に『「忘れられた日本人」の舞台を旅する―宮本常一の軌跡』(河出書房新社、2006年)、『駐在保健婦の時代―1942-1997』(医学書院、2012年)、『来者の群像―大江満雄とハンセン病療養所の詩人たち』(編集室水平線、2017年)、『宮本常一を旅する』(河出書房新社、2018年)がある。

飯岡幸子/Iioka Yukiko

映像作家、撮影監督。監督作品に「ヒノサト」(2002)、撮影作品に杉田協士監督『春原さんのうた』(2022)、濱口竜介監督『偶然と想像』(2021)、清原惟監督『すべての夜を思いだす』(2022)、Wendelien van Oldenborgh「OF GIRLS」(2023)、森井勇佑監督『ルート29』(2024)など。

青柳菜摘/Aoyagi Natsumi

映像を用いたインスタレーション作品や詩作など幅広く発表する。個展「亡船記」(十和田市現代美術館、2022年)をはじめ展覧会多数。詩集『そだつのをやめる』(2022年、thoasa)では第28回中原中也賞を受賞した。「コ本や honkbooks」主宰。